2025/10/30 14:44

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ご指定の年代ごとに、そのユニークなディテールと変遷を、リベットに特化して解説します!



1️⃣ 1920年〜1938年:銅リベットと「スクラッチ・プルーフ」への転換期

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この時期は、「101 Cowboy Pants」が誕生し、カウボーイ専用のタフなジーンズとして確立されていく時代です。

  • 初期のリベット: 1920年代の初期のLee 101には、リーバイスなどと同様に銅製のリベットが使用されていました。

  • 革新的な変更(1938年頃): 最大の転換点は1938年。Leeは、バックポケットの銅製リベットを廃止しました。

    • 理由: 馬に跨るカウボーイの大切な鞍(サドル)や、彼らが座る家具などを金属リベットが傷つけてしまうという問題を解消するためです。

    • 代替策: リベットの代わりに、強度を持たせるための**「X字型カンヌキ(スレッドリベット、X-Tack)」**によるステッチ補強が採用されました。この配慮こそがLeeのワークウェア精神を象徴しています。

  • フロントのリベット: フロントポケットには、「LEE」の刻印が入った銅製のリベットが引き続き使用されていました。


2️⃣ 1938年〜1943年:大戦前の最終形と「UFOリベット」の萌芽

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バックポケットのリベット廃止後、フロントリベットに特徴が見られる時期です。

  • リベットの形状: フロントポケットのリベットは、Lee独自の工夫が凝らされます。突起が少なく、中心を抑えたドーム型に近い形状、または後の**「UFOリベット」**に似た、突起が低い形状のリベットが採用され始めました。

  • 目的: これもサドルや家具を傷つけないよう、金属の突起を抑えるためのLee独自の「スクラッチ・プルーフ」ディテールです。

  • クロッチリベット(股リベット): 股下には、補強用の**股リベット(クロッチリベット)**が打たれていました。


3️⃣ 1943年〜1945年:第二次世界大戦下の「簡略化」と「鉄製」


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第二次世界大戦中の物資統制により、金属の使用が大幅に制限された、ヴィンテージで最も希少性の高い時期です。

  • 素材の変更: 銅や真鍮の代わりに、持続的な供給が可能であった無着色の「鉄製(スチール)」リベットに変更されました。磁石に反応するのが特徴です。

  • UFOリベット: リベットの形状は、通称**「UFOリベット」と呼ばれる、頭部の突起が低く、つばが広く、円盤状に見えるデザインが採用されました。これには「LEE」の刻印**が入っているものが多いです。

  • リベットの省略:

    • リーバイスの大戦モデルと同様に、物資節約のためコインポケットのリベットが省略されました。

    • 一部のモデルでは、股リベット(クロッチリベット)も省略されました。


4️⃣ 1945年〜:戦後の復活と「Lee Riders」の完成


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終戦後、資材制限が解かれ、モダンな「Lee Riders」として進化を遂げる時期です。

  • リベットの復活: 大戦中に省略されたコインポケットのリベットが復活します。

  • 素材: 再び銅や真鍮が使われるようになり、鉄製リベットは姿を消します。

  • 形状と刻印: リベットの形状は、「LEE」の刻印が入った、突起が低いドーム型のリベットが定着します。

  • 最大の継続点: 1938年に導入された**「バックポケットのリベット廃止とX字カンヌキ補強」**は、Lee Ridersのアイコニックなディテールとしてその後も継続され、Leeの大きな特徴として定着しました。これにより、Leeはリーバイスやラングラーと並ぶ「Big 3」の中で、最もカウボーイの使い勝手を考慮したブランドとしての地位を確立しました。